新しい土地に馴染むためには

誰にとっても「住み慣れた土地」というものがあるはずです。年中転居を繰り返しているのは「旅芸人」や「サーカス団」くらいのものでしょう。

普通の仕事をしていれば、職場から通える範囲に「自宅」があるものです。「自宅」の形態にはさまざまなものがあるでしょう。土地も建物も自分で購入して、「ローン」を返済しているであるとか、「すでに完済した」であるとか、あるいは「賃貸物件」であることもあるのでしょう。どのようなカタチだとしても、「自分が住む家」が一番落ち着く場所であることは間違いありません。自分がそこに住んで間もないということであっても、「自宅」には変わりはなく、その自宅を含んだ周囲の光景、環境なども見慣れたものであるはずです。「慣れている」ということは、自分にとって「自然だ」ということです。自分にとって「自然である」ということは、それだけで何か落ち着くイメージを持つことができるのです。それが「自分の居場所」、「自分の住処」ということです。

単身赴任で転居した先は、そんな自分にとっては「見知らぬ土地」、「見知らぬ場所」ということです。それまで見ていた光景があまりにも変わってしまい、いつも同じ場所ですれ違う人、いつも同じ場所で見る看板など、すべてが「違うもの」になってしまうのです。単身赴任でまず直面することは、そんな「知らない場所」にまず足を踏み入れてしまったことに対する「不安」です。知らない場所、知らない人、というものは実は少しずつではあるものの「ストレス」になってしまうのです。自分がそこにいるということ自体にも何か「違和感」を感じ、なんだか自分がそこに向いていないんじゃないか、自分がそこにいてはいけないんじゃないかと感じることになります。それは自分からなぜか抱いてしまった「よそ者意識」ということになります。「自分はこの土地の人ではない」ということです。

ですが、例えば地方から都市部へ転居して、そのまま暮らしているような人であればわかるのではないかと思うのですが、「住めば都」なのではないでしょうか。その土地に暮らせば、その土地が自分の故郷になるのではないでしょうか。それは「住み慣れる」ということで実感できる「帰属」です。単身赴任と一般的な転居で違うことは、それが「自分が望んで引き起こした転居」なのか、「人に言われて渋々従った転居」なのかということくらいでしょう。自分が望んで転居した場合は、そこでの暮らしはとても楽しい「イメージ」です。自分が望んでそこで暮らすのですから、当然です。ですが、会社の命令などでそこに移動しなければいけなくなった場合は、「言われたので仕方なく」ということになってしまいます。その時点で、その場に臨む際の「イメージ」が違うものになってしまうのです。

実はその土地に馴染めるかどうかということはそこで抱く「イメージ」に拠るのです。良い印象でその土地に移ることができれば、暮らしているうちにすぐに馴染むことができるでしょう。私たちに必要なのは「イメージ」です。その場所に「馴染めるかどうか」、「受け入れてもらえるかどうか」ということは、その土地に抱く「自分自身のイメージ」が何よりも大切なのではないでしょうか。

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